ギリシア神話の原典とは?

古代ギリシア人が語り伝え、後の時代にも絵画や彫刻、また現代ではゲームや漫画の題材としても親しまれているギリシア神話。

しかしそのエピソードがどのような形で伝えられてきたかはご存じでしょうか?

今回はギリシア神話の原典となる代表的な作品を紹介していきたいと思います。

アポロドロスのビブリオテーケー

ギリシア神話の全体像を把握するために最適な作品。

それが、アポロドロスの”ビブリオテーケー”です。

”ビブリオテーケー”は世界の創造からトロイア戦争、さらにはその後日譚までを散文で網羅的に描いており、一冊でギリシア神話の大枠を知ることができます。

また多くの人名や異説も記されており、ギリシア神話好きにとって非常に読み応えのある内容です。

反面、人物の紹介にあたってその先祖やきょうだい関係を重要でない人物も含めて事細かに記している等、取っつきにくさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。

興味深いのはローマ時代に編纂されたにもかかわらず、ヘレニズムやローマ的な要素をできる限り排除し、本来のギリシア神話を忠実に残そうとしている点です。

岩波文庫から『ギリシア神話』というタイトルで出版されているため、日本語でも読むことができます。

神々の物語~神統記、ホメロス風賛歌~

神々の物語を詳しく知りたい時は、ヘシオドスの”テオゴニア”、日本語で言うと”神統記”がおすすめです。

神統記は宇宙の創造から神々の系譜、そしてゼウスの支配確立までを描いています。

また、俗に”ホメロス風賛歌”と呼ばれる33篇の作品群も興味深いです。

”ホメロス風賛歌”は”ホメロス”の名が冠されてはいるものの古代から既に「ホメロスの作品ではない!」との指摘がなされたり、二大叙事詩として知られるイリアスやオデュッセイアと比べて低く扱われたりと、不運な作品群ではあります。

しかしそれぞれの詩には独自の物語が含まれており、先述のビブリオテーケーや神統記を補完するものであるとも言えます。

英雄の物語

ギリシア神話はその名の通り神々の逸話も多く語り伝えられていますが、英雄たちの物語も重要な柱となっています。

英雄たちの物語はヘシオドスの神統記、ホメロスの二大叙事詩と呼ばれるイリアスとオデュッセイアの他、数々の叙事詩や悲劇、喜劇を通じて語られてきました。

ギリシア悲劇詩人として有名な人物にはアイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスがいますが、彼らの作品も残念ながら時の経過とともにその多くが失われてしまい、現代ではわずかに33作品が残るのみです。

ヘレニズム時代とローマ時代の作品

ヘレニズム時代の代表的な作品としては、ロドスのアポロニオスによる”アルゴナウティカ”があります。

”アルゴナウティカ”では黄金の羊毛を求めて航海するイアソン率いる英雄たちの一群、アルゴナウタイの冒険が描かれています。

またローマ時代にはオウィディウスが”変身物語”を残しています。

神々や人間が様々な形に変身する物語を集めたもので、ギリシア神話から取り入れられた物語や、ギリシア神話にインスピレーションを得て新たに作られた物語が残されています。

その他の作品とギリシア神話の影響

ギリシア神話は、歴史書や寓話集にもその影響を及ぼしています。

例えばアイソポス寓話集、いわゆるイソップ物語には、神話の神々や英雄が登場する物語が多く収められています。

ここからも、ギリシア神話が古代ギリシアの民衆の間で身近な存在であり、生活に根差したものであったことがうかがえます。

終わりに

古来、様々な媒体にインスピレーションを与え続けてきたギリシア神話。

今回はそんなギリシア神話の原典についてご紹介しました。

今後、それぞれの物語について詳しく解説していきたいと思います。

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